「果糖は肥満になりやすい」って本当ですか?1

2019年9月3日

果物は水分・ビタミン・ミネラル・食物繊維、そしてブドウ糖や果糖の糖質を含んでいます。果物を食べすぎると、糖質の過剰摂取により中性脂肪の増大や肥満をきたすおそれがあると言われていますが、これは本当なのでしょうか?

果物に含まれる糖質の種類

果物には果糖(フルクトース)・ブドウ糖(グルコース)・ショ糖(スクロース)という糖質が含まれています。

果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)は糖質の最小単位である”単糖類”です。ショ糖(スクロース)は果糖1分子とブドウ糖1分子が結合した”二糖類”になります。

果糖の消化・吸収

消化については、果糖やブドウ糖は単糖類ですので、これ以上必要ありません。

果糖の吸収は糖輸送担体(GLUT5)により濃度勾配を利用した拡散輸送で行われます。ブドウ糖はナトリウム-糖共輸送担体(SGLT1)により能動輸送されます。したがって、ブドウ糖に比べ果糖の吸収は遅い。

果糖の代謝

吸収された果糖は門脈を経て肝臓へ運ばれ、フルクトキナーゼという酵素の作用によってフルクトース-1-リン酸となり、ブドウ糖の解糖系に組み込まれます。フルクトキナーゼはインスリンの影響を受けないので、果糖はブドウ糖より早く利用されます。実際には果糖が単独で体内に存在するわけではないので、相互に作用しあいながら利用されます。 ー 「厚生労働省 eヘルスネット」 より引用ー

日本国内では上記のように考えられているいるが、果糖は腸管で吸収後すぐに肝臓に送られ代謝されるのではなく、一定の量であればほぼ全てが小腸で、小腸特異的な方法で代謝されるとする海外の研究結果もある。

この海外の研究では、普段摂取する程度の果糖を口から食べさせた時に、血中の果糖がほとんど上がらないということがわかっている。アイソトープ標識を手掛かりに何に変わったかを調べると、グルコースに転換されており、またグルコースと比べて多くのグリセレートに転換される。

難しい内容は置いといて、この研究で証明されたのは、果糖はすぐに肝臓に行って代謝されるというこれまでの通説は間違いだったことである。

小腸での代謝と肝臓での代謝

この研究によると、果糖の代謝のほとんどは小腸の細胞で行われており、最初小腸に存在するケトヘキソキナーゼ(Khk)によりリン酸化されて下流の経路に流れることを明らかにしている。(日本ではフルクトキナーゼでリン酸化されるとされている)

実際Khkをノックアウトすると、果糖はそのまま門脈を通って肝臓に行く。すなわち、小腸は果糖が直接肝臓に行くのを防御する働きがある。ただ、この処理能力には限界があり、このレベルを超えると肝臓に直接入って、肝臓で代謝されるようになる。

また、一部は腸内細菌で代謝されるが、腸内細菌の代謝物で直接体に影響するのは短鎖脂肪酸と想像している。また果糖を前もって摂取しておくと、G6Pcの発現量が変わり、より高い果糖を小腸で処理できることも示している。

これまた難しい話になっているので要約すると、「果糖の代謝はまず小腸で行われ、小腸で代謝しきれなければ肝臓で代謝される。例外として、一部が腸内細菌で代謝される(と予想)ので果糖を前もって摂取しておくと、より高い果糖を小腸で代謝できるようになる。」ということです。

なぜ肥満に結びつくのか?

血糖値は血中のブドウ糖の濃度なので、果糖が直接的に血糖値を上げることはありません。しかし糖新生によりブドウ糖に変換されます。過剰な糖質は肝臓でトリアシルグリセロール(中性脂肪)に合成され、高中性脂肪血症となり肥満をきたすおそれがあります。 ー 「厚生労働省 eヘルスネット」 より引用ー

厚生労働省の記事には上記のようにあるが、代謝の仕組みについて異論が出たことで、この結果についても再考する余地があると考えられる。

前出の海外の研究結果によると、なぜ果糖が様々な生活習慣病、特に脂肪肝の原因になるのかについては特定に至らなかったようです。

小腸での果糖の特殊な処理により肝毒性のある中間体が多く生成されることや、果糖自体が小腸や肝臓で、インシュリンでコントロールできない糖代謝の酵素系を誘導してしまうことを、果糖が代謝病により強く関連する可能性として示唆している。

という経過がまとめられているが、厚生労働省と海外の研究結果で共通するのが果糖を過剰に摂取すると、代謝しきれなかった果糖が肝臓で中性脂肪に合成されてしまうということだろう。

厚生労働省の発表と海外の研究結果の違いはあくまで果糖の代謝のされ方だけであって、結果としては同じことを示している可能性が高い。果糖の過剰摂取は中性脂肪の増大や肥満をきたすおそれがある

果糖との上手な付き合い方

果糖はもともと甘みが強く、また低温で甘みが増すので、果物を冷やすと甘みが増し過剰摂取につながる恐れがある

日本では果物の購入にそれなりにコストが必要となるため、過剰摂取するほど食べれる人は限られているかもしれないが気をつけたい。

それより気をつけたいのは、果糖は清涼飲料など多くの食品の甘み付けに使われており(最近では人工甘味料も多く使われている)、清涼飲料の飲みすぎによる果糖の過剰摂取に気をつける必要がある

日本の場合はいたるところにコンビニエンスストアや自動販売機があり、清涼飲料が手に入りやすい環境なので特に注意が必要だと思います。

また、果糖を摂取するタイミングも重要で、海外の研究結果によると、果糖の処理能力を果糖が高めるということが証明されたので、食後に甘いものをとるという生活の知恵は事実だと証明された。

ただし食事中、あるいは食間に果糖で甘みのついた飲料を摂取するなど、果糖の過剰摂取につながる恐れがある行動は肥満や他の疾病につながるリスクが増すので注意が必要です。

参考文献

Cell Metabolism掲載:「The small intestine converts dietary fructose into glucose and organic acid(小腸は食品中の果糖をグルコースと有機酸に転換する)」

NPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン:http://aasj.jp/news/watch/8072

厚生労働省HP「e-ヘルスネット」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-01-003.html

栄養学

Posted by healer